TDAスクールの東京校では、毎回が非常に濃い内容の講義で大変充実しているのですが、今回のプリント塾
という企画ほ、受講者ひとりひとりが直接サンプルを制作するワークショップの形式をとる唯一の機会であり、
そういった意味ではスクールの目玉ともいえるものです。協力してくださったのは、八王子ファッション評議会
のメンバーでもある(株)奥田染工の奥田正美氏です。参加メンバーは正会員と賛助会員を中心にした20名で、
遠くは金沢から参加された熱心な方も有り、大盛況の内に2日間の日程を終えることができました。
第1日目(7月20日):着色抜染とオパール加工
1:事前にインストラクターの方々が奥田氏の指導の元、作成したサンプル(個々の技法の大変判り易い尺角)
とプロ仕様の貴重な薬剤レシピ(二宮とみ氏作)がテキストとして配布される。
2:シルク生地の着色抜染実習:濃色に地染めされたシルク生地と抜剤&染料を混入した糊が用意され、グループ
ごとに思い思いのスクリーンを使用して着抜プリントを実地体験した。
3:オパール加工の実習:シルク&レーヨンのベロア生地及び、レーヨン&ポリエステルのボイル生地。2種類の
交織生地のレーヨン部分をハンドスクリーンにて抜触した。乾燥中のアイドルタイムには奥田氏の好意で展示
し て頂いた様々な製品サンプルの解説。活発な質問が飛び交った。抜触糊が乾燥した後、焼き付けと水洗いの
工程 を経てサンプルを完成し、この日は終了した。
第2日目(7月21日):塩縮加工の実習
当染工場でイッセイ等の服地に使用される特殊な縮み加工のプロセスを実地に体験した。各自が用意した絞り、
板締め等の処理をした生地と防染糊をプリントした生地(共にシルクオーガンジー)を塩縮液に短時間浸し、水
洗いと柔軟処理を施して完成させた。また更に塩縮加工を施したネクタイ生地のサンプル帳を拝見するなど、名
残を惜しみながら2日間の日程を終えた。
会期後、用意した30ポケットのファイルがパンパンに膨れ上り、改めて今回のプリント塾の内容の濃さを思い
ました。私も学生のような新鮮さと好奇心を持って参加していましたが、その中で強く思ったのは、クリエイタ
ー が机から離れて生産の現場と向き合う事の重要性です。普段このような機会の無いフリーランスのデザイナー
と 中国という巨大ライバルを抱える国内産地の生産者の双方にとってこのような交流は大変大きな意味を持ち、
今後も絶対に必要不可欠であると云う事です。また、魅力的な素材を作ろうとする探究にファッションとかイン
テ リアとかいった境界線は無く、お互いの分野の交流をもっと深めるべきだとも感じました。最後になりました
が、 休日にもかかわらず熱心な指導をして下さった奥田夫妻と古谷氏、また力強くフォローして下さったインス
トラクターの橋本、二宮、原の各氏に厚く御礼申し上げます。
(リポート 怡田勉) |
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