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イベントレポート

TDA海外インテリアトレンドセミナー
毎年恒例の人気イベント「TDA海外インテリアトレンドセミナー」開催

毎年恒例の人気イベントであるTDA海外インテリアトレンドセミナーが震災後はじめて開催されました。ヨーロッパ経済が債務危機に見舞われてハイムテキスタイル等では出展者・来場者共に動向が危惧されましたが、ほぼ昨年の結果を維持したと見られます。また不況が恒常化し、かつ震災の打撃が拭えない日本で報告会として行われたこのセミナーですが、東京134名、大阪(3月7日)74名とまずまずの参加人数を集めたといえましょう。

厳しい状況の中でも業界内外の皆様の熱い視線と並々ならぬ意欲を感じる今、一般社団法人として2年目を迎えた当協会でも、安定した評価を頂いているこのトレンドセミナーを核として、今後より一層充実・発展したセミナープログラムを企画し応えてゆく所存です。

最後になりましたが、後援および取材協力を頂きました
ケルンメッセ(株) ハノーバーフェアーズジャパン(株) メサゴ・メッセ(株) 
どりーむ編集局 マナトレーディング(株)
メゾン・エ・オブジェ日本オフィスの皆様に今一度厚く御礼申し上げます。

(文責:怡田勉)

トレンドセミナー発表
 
--各展示会別に、今期トレンドの概要--
 
「ハイムテキスタイル」(heimtextil) 

家庭用、及び商業用テキスタイルの国際見本市

期間:2012年1月11日~14日       
場所:フランクフルト国際見本市会場 
出展者:61カ国より2,634社(日本から出展19社)
来場者:136カ国より約70,000人
リポーター:矢澤寿々子/北原美希

2012のテーマ:MONTAGE(組み合わせをしながらデコレーションしていく)

技術革新はモノづくりの様々な分野で急速に進化し、その可能性は今後も更に拡大するであろう。
テキスタイルに至っても同様に最新のテクノロジーが異なる要素を合成したり、融合したり、
切ったり、まとめたり、…そうすることで新しいモノや空間・環境を創り出していく。

【トレンドフォーラム:4つのカテゴリー
・COLOR LIOT(カラーの錯綜) ・ARK LUX(神秘的なエレガンス) CR
・ AFT INDUSTRY(プロトタイプの進化) ・PLIT CLARITY(対極にある清澄さ)

【主なカラー傾向
・クリアーカラー:
 発色の良い色と光の効果・レインボーやオーロラの光からインスピレーション・透明感・色と色の交差
・カラードニュートラル:
 グレー、ベージュからパープルやブルー味を帯びた中間色まで幅広く・メタル系とアース系
・オレンジ〜レッドの組合せ:
 モノトーンとの組合せ・リュクスなタンジェリンオレンジ
・色相豊かなブルー系:
 特にクールな印象のアイスブルー

【パターン傾向
・デジタルグラフィックのクリエーション:
  ピクセルの変形・歪み・ずらし・3D活用・万華鏡模様など
・繰り返しの迫力&デジタル感覚幾何模様:
  分子構造的パターン・サークルライン・折り目幾何柄など
  (いずれもあまり大きくない幾何で 迫力ある繰り返しパターン)
・幻想的でドリーミーなフラワー:
  ルーズな絵画タッチ・ぼかしの重なり合い・ペンタッチ+水彩・自由な配置
・ノスタルジックな風景や動植物のレトロパターン:
  古びた印刷や写真・ノスタルジックなグラフィック・図鑑の精密画風・やさし絵調

【クオリティー傾向】
 なめらかで軽やかな凹凸・かさの無い表面・心地良いボリューム・反復・緻密な陰影・
 膨らみ・うねり・波状・構造的エンボス・毛足の短いフロントカット・
 (従来の3D表現からより繊細な方向への進化が見られた)

 自然すぎるぼかし・ぼやけた表面・フラットな表面に抑揚を与える・織物のスプレー
 ぼかし表現・ぼかし+パターンの合成・角度による視覚と色の変化
 (反射や透過など光との関係性で色を表現する方法が多く見られた)

 意外性・錯覚・予想外の触感・超軽量で新たな価値を生み出す・重厚な伝統的壁材の軽量化・
 エンボス加工による凹凸・コーティングの進化・フィルムのような光沢

 長い年月が作って来た表情をテクノロジーがリアルに再現・朽ちた木材・ペイント・
 ひっかき・傷・かすれ・色落ち・ダメージ加工など
 (このようなビンテージ表現の再現精度が飛躍的に向上している)

【スタイル傾向】
・光を調整して取り入れるスマートメカ:
 薄型&軽量の二重構造・ワンタッチ窓枠設置・調光でパターンやシルエットを楽しむ

・巨匠Ingo MurerによるLED+壁材のコラボ:
 薄い壁紙に埋め込まれた様々な光のデザイン

・クラフト調のカジュアルなタッセルやトリム:
 ディップダイによるムラ染め・鳥の羽根などの天然素材・
 ルームアクセサリー感覚のカジュアリティー・脱クラシック傾向

 
「ドモテックス」(DOMOTEX) 

国際的なカーペット・フロアカバリングの見本市

期間:2012年1月14日~17日
場所:ハノーバー国際見本市会場
来場者:45,000人
リポータ:今野文雄

DOMOTEXは以下の3つのゾーンから成る

【FLOOR FORUM 2012 (フロアフォーラム/HALL-4)】
 2012~2013シーズン最高レベルのカーペットを展示。今回展示テーマは NATURE自然 CLASSICクラシック FASHIONABLEファッショナブルの3つ。ビジネスのアイディアや最新の動向を観る上で欠かせない。

【SOUK DELUXE 2012 (スークデラックス/HALL-20)】
 「スーク」はアラブ諸国の市場の意味。伝統的な手作業で製作した現代的デザインのカーペットを展示。
 マシーンメイド(ウィルトン)に大きな影響を与える点で地位を拡大しつつあり、ディーラーや
 デコレーターが注目している

【CARPET DESIGN AWARDS 2012 (カーペットデザインアワード/HALL-21)】
 優れたハンドメイドカーペットに贈られる賞。各カテゴリーのデザイン賞はハンドメイドカーパット
 業界でのトレンド指標になっていて、こちらもマシーンメイドに影響を与える存在。


【ストラクチャー&クオリティー傾向】
・フック・ウィルトンの表現にハイ・ローの凹凸感や超光沢糸を使用した上質ラグの継続拡大。

・ビンテージ+パッチワーク、ミックス糸+超ブライト糸、極太ウールループシャギー+インクジェットプリント 等の複合テクニック。

・イカット・キリム調デザインの拡大から絣調や綴織タイプのラグがハンドメイドだけでなく
 マシーンメイドにも波及している。

・中級クラスにプリントを使用したラグが出現。(ベース素材を考えたものが増えている)

【カラー傾向】
・クラシックパターンにY、OR、そして多彩なPINK系が加わったウォームカラーが新鮮。

・洗練されたニュートラルカラー+ダークブルー、ダークパープルなどのミックス。
(派手さは無いが上質感とリッチ感がある)一方、モノトーンカラーは減少傾向。

・ブルー系は幅のある使用法。アイリスブルーとスモーキーブルーに注目

・クラシック柄に意表を突くホワイト+ビビットカラー。今までに無い躍動感。

【デザイン傾向】
・クラシカルモチーフをモダンに処理する傾向は継続。変化したのは手織り感覚を
 モダンにマシーンメイドで制作している事。また、手織り風の抽象アートデザイン
 (ハンドタフト)をマシーンでミックスやグラデーションを駆使して制作している事。

・ビンテージラグのパッチワークをウィルトンでプロダクトしたラグが急増。

・ハンドメイドのモダンなイカット。幾何、花柄など広範囲でブライトカラーが多いキリム調。

・デジタルプリント使いのぼかし表現。(花/抽象)色は透明感のあるブライトカラー。

 
「ケルン国際家具展」(messe cologne)

期間:2012年1月16日~22日 
場所:ドイツ・ケルンメッセ会場
リポーター:今野文雄

国際的な家具見本市。DOMOTEXにおけるフロアカバリングのデザイン・カラー傾向と
ケルン国際家具見本市でのファニチャーカラーやコーディネーションなどの関連をセミナーで報告。

【カラー1】
 ニュートラルより明るくパステルより存在感あるカラーが目立った。ファッションで見られるような
 柔らかいニュアンスカラーやジェラートカラーなど優しい色が増加。

【カラー2】
 拡大するブルー系。グレイッシュブルーからスモーキー・ターコイス、ダークブルーまで幅広い。
 透明感や癒しを感じる色として注目されている。
 一方でダークパープルと多彩なレッド〜ピンク系は減少傾向。

【カラー3】
 従来のエネルギッシュから、ややマット感のある大人っぽさに変化したカジュアル系カラー。

【コーディネート1】
 DOMOTEXで注目を集めた手織り感覚カーペットはモダンなソファーとのコーディネートが見てとれる。

【コーディネート2】
 毛足の長いラグとシンプルモダンなソファーの組合せは靴文化の欧米では定番。
 極太ウールヤーンを使ったもの、また極太ヤーンにカラーミックスしたものなど
 バリエーションが拡大している。(日本では細糸でタッチの柔らかいものが人気)

 
メゾン・エ・オブジェ 2012(MAISON&OBJECT)

年2回行われる、人気のライフスタイル型展示会

期間:2012年1月20日~24日     
場所:パリノール・ヴィルパント見本市会場
出展者:3,000社(日本より76社) 
来場者:137カ国 85,766人
リポーター:大場麻美

2012年のテーマ:「CRAZYクレイジー」 

すべての"風変わりな創造性"とユーモアを体験しましょう。
この世界を楽しむ為には今までの価値観を一掃する必要があります。
こんな暗い世界は嫌!私達は誰もがユーモアに溢れ楽しむ為に、新鮮な空気を吸って、
新しい価値観を持たなければならない時が来ています。

「Sweet Freeks」怪物のような美しさ by Vincent Gregoire
「dream Box」優しい狂気 by Elizabeth Leriche 
「art' keting」アート狂 by François Bernard

クリエーター紹介

 ・フェルナンド&ウンベルト・カンパーナ(ブラジル/兄弟デザインユニット/会場内で展示)
 ・ユベール・ル・ギャル(フランス/デザイナー・彫刻家)
 ・吉岡徳仁 (日本/デザイナー・建築家/会場内で受賞記念展示)

【カラー傾向】

・爽やかなブルー〜ターコイズのバリエーション。
 昨年より軽快で綺麗なブルー ・ニュアンスのあるアッシュカラー。
 ウール、リネン素材との組合せが多い。

・昨年より継続のモノトーン。
 ハッキリしているよりニュアンスのあるグレーが今年風

・チャコールグレー+ブライトカラー
 例えばアンティーク風グレー壁材とカラフルな家具。

・レッド〜ピンク+柑橘系
 レッド&ピンク系と紫系のコンビネーションは減少。

【クオリティー傾向

・ウール&獣毛素材
 アイテムとしては膝掛けやケット類。織、ニット、フェルト。

・リネン素材
 少し洗い晒し感のある仕上げが主流

・キルト、刺し子などの柔らかい凹凸感
 壁面で多く提案されている部分が今年らしい。

・ユーズド感
 錆の表現や剥げた表現。ファブリック以外のアイテムで多い。

・パッチワーク
 数年前からのラグが定着。アンティーク風なパッチワークが主流。

・プリーツ&シワ加工
 繊細さを伴ったものが多い。

・ニット
 マシーンニットの粗ゲージタイプがディスプレイに多い。

・手作り感
 手づくりの温もりを伝えるテクニックは空間演出に於いて重要なポイント。

【パターン傾向】

・デジタルプリント
 水彩の花柄が多い。またカラーパレットがデザイン要素として使われる。
 理由は不明だがモチーフとしてマグノリアの花が流行。

・和風幾何パターン&イカット・タイダイ
 ジオメトリックパターンに和のテイスト。絞り、絣のパターン表現は継続。

・ライン使い
 ラインをアクセントにしたパターン。水彩+ライン、ラインのみの2通りが多い。
 モチーフとして多くなった建築物。

・トリックパターン
 椅子、扉、カトラリーなどのモチーフが多い。遊び心で空間演出。

・スタンプタッチ
 ハンコのようなタッチ。色もカラフルで広がりを見せている。

【スタイル傾向】

・アンティークミックス
 アンティーク家具や空間にコンテンポラリーをコーディネート。
 素材のハーモニーで演出する場合とカラーを上手く取り入れる演出が新鮮。

・ハンドメイドミックス
 手作り感のあるアイテムをコーディネートのポイントにした演出。
 ほのかに漂う懐かしさが新しいスタイリング。

・ミックスカルチャー
 テイストをミックス。お気に入りを集めたスタイリング。
 どことない暖かさがポイント。

・新鮮ディスプレイ
 「日々見ている物」の見せ方を違えて、強いインパクトを演出する。
 例えば生の果物や野菜を壁面にびっしりディスプレイしてウォールを作るなど。

【付記

・パリ市内でのDeco Offは昨年に引き続き開催。
・PARIS DE CHEFS(パリ・デ・シェフ)22日よりパリ市内で連動して開催。来場者約9,000名