イベント

イベントレポート

INTER TEXTILE SHANGHAI HOME TEXTILE
 
 

会場に入ると巨大な水の泡のような展示が目に入る。
今回の制作テーマは「WATER CYCLE」 水の循環である。水や川、海などをイメージしたプリ
ント生地をまとったマネキンが並んでいた。
 この展示はKPA 京都プリント振興協会が主催するKYO-PRINT MAKING WORKSHOP ECO/DECO
シリーズで、エコ素材に絞り込んだ展示会での三回目である。一回目が竹繊維、二回目がリサイクル
ポリエステル、そして、今回は牛乳パックを原料とした再生レーヨンを主に、一回目の竹繊維、二
回目のリサイクルポリエステルを加えた3種類の循環型素材を使って新たなテーマによるプリント
で展示されている。

 

 
 

 プリント図案はTDA会員の池端禎三氏ら京プリントを支えてきた図案家さんを中心に、テーマ
に即した意匠で展開されていた。また環境に配慮したエコプリントでの加工が推奨されている。
これらのプリント提案としては、
① 水洗がいらないナノ顔料をつかったもの
② 化学染料が排出されない天然染料をつかったもの
③ 水洗時の水の汚染が少ないインクジェットプリント
である。(下記図表を参照)
そしてそれらのプリントの上に発泡やグリッター、カレンダー加工等により、さらなる味付けを
施し深みを加えている。また素材の説明として、牛乳パックから再生レーヨン糸になる過程を手
に取れる形で展示されていた。それを見ていた大学生らしい女の子の1人が、「牛乳パックがこん
な糸になるんだ。この頃ちょっとめんどくさくて、普通のゴミと一緒に捨ててたけど、これから
ちゃんと分別ゴミに出そう!」と別の女の子に話していた。これは、偶然耳にしたことばだった
が、この展示会の大きな意義のひとつなのではと感じた。プリント生地の歴史ある基地、京都が
エコ素材そして、エコプリントの試みをおこない、次世代の物作りに目を向けていることはとて
も興味深い。今後エコ素材での開発も進み、さらにバリエーションのある素材が増えれば、また
面白い加工もできるのでは?と可能性を感じる。
 エコ素材に関しては多くの人や企業が興味をもちながらも未だ安定した生産状態とは言えない
状況が続いている。まず国内の生産システムを整える必要があるのでは思う。そして、だれもが
容易に手に入るようになれば,循環型社会に向けての繊維産業の大きな基軸の一つになるのでは
と思う。

(内丸もと子)