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株式会社 マルナカ marunaka textile 訪問
 

埼玉県飯能市にある生地製造業者、株式会社マルナカを訪問しました。この会社は150年の歴史を持っています。普段は会社訪問を受け付けないとおっしゃるほどご多忙な中里昌平社長でしたが、お話が始まると止まりません。

同社の強みは、ドイツ製のドルニエレピア織機を早くから導入し、独自のプログラムを開発してあらゆる要求に素早く対応できる事。さらに、価格の決定権をもつ事を鉄則としています。徹底したこだわりを持って、大量生産ではなく、少量多品種の要望に対応しています。

1971年の日米繊維交渉による市場開放で、繊維業界は衰退の一途となり、周囲の業者が廃業して行った中、いち早くドイツ製のドルニエレピア織機を導入し、社長自らソフトとハードすべてを管理するプログラムを開発されました。ドルニエ社設計の工場を敷地内に建設し、最初8台導入し、現在では40台になってドルニエレピア織機の日本国内最多工場とのことです。

この機械の一番の特長は、レピアによる緯糸の受け渡しにあります。レピアという金属製の細長い槍状の先端が、左から右へしっかりと糸を受け渡す方法で、素材や太さの違う糸を正確に織り上げていきます。素材は綿、麻、絹や合繊繊維など、あらゆるものに対応します。極細のフィラメントから手で紡いだ極太のものまで、無調整で製織できます。

パリコレに関係しているデザイナーは、20人以上で、様々な要求を出してきますが、それを生地にするために実際に会って一緒にもの作りをします。必要とする素材は、それを得意とする全国の産地との協業ネットワークが自然に出来上がっています。

最近では東京スカイツリーの3種類の制服生地も手掛けており、これは皆川明氏によるデザインです。 同社の資料室を、少しの間ですが見せて頂きました。様々な素材、色、柄の布が所狭しと掛けてあり、それらを1つひとつ取って見たい衝動にかられました。ものを作る者にとっは、大変貴重でわくわくする場所でした。

宮嶋直子

 
レポート:宮嶋直子